詰め物やかぶせ物でえよく目にする銀歯。
我々日本人には馴染み深いものですが、実は先進国で銀歯を使って治療しているのは日本だけなのをご存じでしょうか?
保険でかぶせ物をする場合には使用する銀歯には、「パラジウム」という、諸外国では人体に使われていない金属が含まれてます。
なぜ外国では人体に使われないのか。
それは、体に害悪があることが指摘されているからです。
特にドイツやスウェーデンでは、保健省が歯科業界に対して「幼児および妊婦に、銅を含有するパラジウム合金と、水銀・銀アマルガム合金を使用しないように」と勧告を行っています。
残念ながら日本では、「歯科は命に直接関わる治療ではないから、保険では必要最小限・最低限のもののみ提供する」という厚生労働省が決めた基本方針に即って、歯科の保険治療の内容が決められています。
そもそも今の歯科保険治療の原型は、戦後の物資の乏しい時代に、安全性は二の次で、「安く大量に手に入る金属だから」という理由で、人体の影響に疑義が残るもののとりあえず銀歯が健康保険に指定されたことにあります。
日本が戦後から復興したら見直されるはずだった銀歯(金銀パラジウム合金)は、戦後70年以上たった今も、見直されることのないまま現在に至っています。
① 硬すぎる
銀歯はやはり硬さが一番の問題点になってきます。
見た目がよくないのはもちろんのこと、一番問題なのは、歯の象牙質よりも金属のほうがはるかに硬いという点です。
かぶせ物が硬すぎると、歯は金づちで叩かれているようなもので早く悪くなりやすいです。
5~15年ぐらいで硬さに耐えきれず、根っこが割れて最悪抜歯という運命をたどることが多いです。
② 虫歯を作ってしまう
お口の中は冷たいものを食べたり、熱いものを食べたりして、常に過酷な環境に置かれています。
例えば、冷たいアイスクリームを食べてから熱いコーヒーを飲んだりしますよね。
その時、歯科用金属は伸び縮みするんです(ご存じない方も多いので、このことをお話しするとびっくりされます)。
金属の伸び縮みで歯との間に隙間や段差ができます。
その出来た隙間からバイキンが侵入して、虫歯になったり、歯と銀歯をくっつけたセメント(接着剤)を溶かして取れてしまったりします。
③ 歯周病を進行させてしまう
銀歯はバイオフィルム親和性(汚れと仲が良い性質)があるので、金属の縁が歯肉に接しているか、少し中に入っているときには汚れやすく、歯肉に炎症が起こりやすいです。
その結果、じわじわと炎症が増えて、歯周病菌によって骨が溶かされ、歯の周りを支えている骨が少なくなります。
せっかくきれいに磨けていても、バイキンが集まりやすいので歯周病と同じように歯の根っこが出て知覚過敏になったり、歯がぐらぐらと動き始め、加速度的に歯周病が進行するのです。
④ 口の中でさびる
以前「前歯の差し歯がとれてしまいました!」と患者さんが来院されました。
赤丸で囲ってあるところが茶色くなっているのがわかると思います。
これは実は「サビ」なのです。
差し歯だけでなく、銀歯が取れてしまった患者さんや、虫歯治療で銀歯を外した時も、中を見ると黒ずんでさびていることがほとんどです。
お口の中の金属は、高温多湿の過酷な環境にさらされて、少しづつ酸化して溶出していきます。
さびが体の中に入っていくのは気持ち悪いですし、どなたも避けたほうが体のためには良いと思います。
⑤ 金属アレルギーを引き起こす
歯科金属アレルギーは口腔内の金属が原因であるにもかかわらず、その症状は口腔内にほとんど発生せず、口腔内から離れた手足など皮膚に発症することが多いのが特徴です。
〈歯科金属アレルギーで引き起こされる疾患・症状〉
アトピー性皮膚炎:よくなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみを伴う湿疹
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう):手のひらや足の裏に白い膿をもった水泡が発生する病気
乾癬(かんせん):角化した皮膚に炎症が生じる病気で、かゆみや痛み、ときには発熱を伴う皮疹
にきび(尋常性痤瘡):10代から20代にかけて多く発症する病気
口腔扁平苔癬(こうくうへんぺいたいせん):頬粘膜、歯肉、舌に好発する白色の慢性炎症性病変
金属(特にパラジウムと呼ばれる銀歯)を外すと、その下が虫歯になっていることがとても多い(5年経過で50%以上、10年経過で80%以上)です。
レントゲンを撮っても、金属の中の虫歯は反射してしまって診断できません。虫歯が大きくなってしまって初めて、虫歯があったことがわかる場合がほとんどです。
虫歯を再度削ってまた銀歯で詰め物をすると、健康な歯の部分がますます少なくなります。歯も弱くなるし、そこに銀歯を入れればまた境目から虫歯になり、歯の寿命がどんどん短くなります。
そのサイクルを止めるためにも、今金属が入っている方はもちろん、詰め物が取れてしまったタイミングで、銀歯以外の素材に替えるという選択肢も考えてみてはいかがでしょうか。
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